二重世界

「オッサン落ち着け！あんたは悪くねえ！俺がきっちり証言してやるから！」


「あ、ああ！救急車だな！」


ほとんど人通りもなく、車の通行も少ない夜中の大通りは、すぐに騒がしくなっていった。


「なんだってんだ、立て続けに！まさかこれも片瀬が……？」


‘お願い香織を追って！早く！！'


「い、いや……、そんな事した雰囲気じゃなかった」




その後、私が目覚めたのは病院のベッドの上だった。


「ん……、ベッド？やっぱり夢だったんだ」


私は上半身を起こして、回りを見た。部屋が違う。薬の匂い。ここは……


「病院！？」


私が飛び起きて部屋を出ると、外には亮ちゃんが神妙な面持ちで座っていた。


「片瀬、目が覚めたのか？大丈夫かお前？」