二重世界
そしてそれからしばらくして、香織の死亡の報せが私達に届いた。

やっぱり香織は助からなかったんだ。
おじさんとおばさんに何て言ったら良いんだろう?


香織は操られて私の首を絞めたのがショックで、家を飛び出した?


こんな事、誰も信じてくれない。香織の死を、香織の名誉を損なわないような理由で、もっともらしく言い繕わなければいけないの?

本当の事を言ったら誰か私の味方になってくれる?本当の事を言ったら、誰か‘あの男'を追いかけてくれる?


そんなの………


少し考えないとダメだ。
まずは、香織の両親に会って謝らないといけない。


私は立ち上がり、香織の両親の場所へ向かう事にした。


「おい、片瀬……」


「大丈夫だよ、藤堂くん」


「あ、ああ、俺も行くよ」
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