二重世界
「俺にはさ、同じ年の幼馴染みがいたんだよ。お前はおばさんと知り合いみたいだから知ってるだろうけど」


「うん」


亮ちゃんは私との思い出を、楽しそうに語り始めた。


「そいつ、顔は可愛いんだけど口やかましいヤツでさ」


ふふ、可愛いだって。
そんなこと1度も言ってくれた事なかったのにな。


「ちょっとお前に似てるんだけど、胸は小さくてよ」


こいつ……!


「明るくて、いつも他人の事優先で、優しくてさ。そういやドリームランドにも行ったな。お前と同じで、ジェットコースターとお化け屋敷が苦手でさ」


「へえ」


「中学から別々だったんだけど、いつも一緒にいたな」


「そうなんだね」


亮ちゃん……。
なんで私の事ばかり話すの?
やっぱり気付きかけてるの?

それとも、わざと明るく話をして慰めてくれようとしてるの?


「俺が事故った時もずっと病院にいてくれてよ。意識を取り戻した時は涙でぐしゅぐしゅだったな。はは」


亮ちゃんの方を向いて話を聞いていた私は、途中から背を向けた。
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