二重世界
だってそんな話を聞かされたら、涙が堪えきれなくなっちゃったから。

私が藤瀬ヒロミだった頃には聞けなかった、亮ちゃんの想いが次々と出てくるんだもん。


「俺はずっと傍にいてえ、て思ったんだ」


「ん……」


「そんでさ……」


この後も亮ちゃんは延々と私の話を続ける。


「………」


「お、眠ったか……?じゃあ俺、行くぞ?」


「………」




亮ちゃん……。
眠れるわけないじゃない。泣いてるのがバレないように返事してないだけだよ。

そんな話を聞かされて眠れるわけないじゃない。


バカ……。


「ヒロミ……。俺はさ、お前がまだいると思ってるんだよな。バカな話かもしれねえけどさ……」



亮ちゃん、やっぱり……!?



「ねえ、藤堂くん」




「ぅえ!?お前寝てなかったのかよ!?」


「そのコさ、藤堂くんの事、なんて呼んでたの?」
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