二重世界
香織は既に‘あの男'の2次世界の中にいるのか、かなりうなされていた。


「香織、起きて!香織!!」


私は香織の目を覚まし、男の2次世界から脱出させるため、必死に呼び掛ける。

しかしそれでも起きないため、香織の頬をパチパチ叩くが、全く目が覚めない。


「うぐぅ……!」


香織はそのとき、体をビクンッと波立たせた。
そして左手を押さえている。


「香織!……夢で何かされてるの!?香織、お願いだから起きて!!」


私は香織をギュッと抱き締め、必死に声をかける。


「私がそっちへ……!」


私は目を瞑り、再び念じた。ふと、あいつの2次世界へ飛び込む事が頭に浮かんだのだ。


私の体が、徐々に香織と同化していくような不思議な感覚が芽生える。


そして、フッと体が浮き上がったような気がした。
次の瞬間、私の体は下降し始める。


「きゃっ!」


ドサッ、と私は地面に落ちた。
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