二重世界
私は再び、右の扉へ手を伸ばす。



「もう!!しっかりしてよ!!」



不意に、私は方向を変え、勢いをつけて左の扉を開けた。

道を進むと、また少し先に分かれ道が見える。


「今通った扉は……?」


私が振り返ると、扉はそのままだった。


「戻ろうと思えば戻れるの?じゃあ、もしダメだと思ったら、ここに戻ってくればさっきの冥界に行けるんじゃ……?」


私はどうしても確かめたくなって、今通った扉を引き返してみた。

すると、右の扉は消えていたのだ。


「ゴールの扉は消えちゃうのか」


少し、いや、かなりの期待を持っていた私の心は砕かれ、引き返せない現実に打ちのめされる。


「いや、これで良いの。もう私は決めたんだから」


もう迷わない。生への道のりを、真っ直ぐに見据える事を。


その後も私はいくつもの分かれ道を通り抜けて行った。
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