二重世界
「考えれば考えるほどわからない」


制限があるはずなんだけど、それが何なのか……。




「鬼ごっこに付き合ってやるか……」




私が考えを巡らせていると、やや離れた場所からバイクのエンジン音が聞こえた。


「あいつ!?」


「詩織、来たわ!」


あの男が、バイクで突進してきたのだ。
こうなっては、この広い校庭は逆効果。


「校内に!」


私は香織の手を引っ張り、校舎に走り出す。
しかしすぐ後ろにバイクが……


「くっ!」


私達は左右に分かれて間一髪バイクをかわした。
しかし男はバイクを反転させ、私に狙いをつけてくる。


「やっぱりそうよね……!」


私はバイクを直前まで引き付けて横に飛んだ。
しかしすれ違いざま、男の手が伸びる。


「あっ!!」


男の手が、私の肩あたりの衣服を掴んだ。
私はそのままバイクに引きずられる。


「ううぅぅ!!」


この夢の中では、私も香織もセーラー服だ。露出した素足が地面と擦れ、焼けるような痛みが走る。


「詩織!!」
< 166 / 265 >

この作品をシェア

pagetop