二重世界
バイクで少し私を引きずった男は、左にカーブをし始めた。
私の体は遠心力で浮き上がる。
「どうする気……!?」
私は必死に顔を振り返り、行き先を見てギョッとした。
カーブした先には、木がそびえたっていたのだ。
このスピードで激突したら……
「詩織!!」
「ダメだ……!」
ビリィ!!
私が木に激突するまさに直前、男が掴んでいた私の衣服が、肩から破けた。
バイクは弧を描いていたため、私は木のやや横に投げ出される。
「あうっ!」
ズザザー、と私の体が地面を這い、校舎の壁付近で止まった。
「詩織、校舎に入るよ!」
必死にバイクの後を追っていた香織が、私を背負って校舎の中に入る。
2階に上り、廊下の真ん中辺りで香織は座り込んだ。
「はあっ、はあっ、詩織、大丈夫!?」
「あつつっ!……だ、大丈夫」
「ここなら左側にも右側にも階段がある。ヤツが来たら反対方向の階段に逃げれば良いわ」
私の体は遠心力で浮き上がる。
「どうする気……!?」
私は必死に顔を振り返り、行き先を見てギョッとした。
カーブした先には、木がそびえたっていたのだ。
このスピードで激突したら……
「詩織!!」
「ダメだ……!」
ビリィ!!
私が木に激突するまさに直前、男が掴んでいた私の衣服が、肩から破けた。
バイクは弧を描いていたため、私は木のやや横に投げ出される。
「あうっ!」
ズザザー、と私の体が地面を這い、校舎の壁付近で止まった。
「詩織、校舎に入るよ!」
必死にバイクの後を追っていた香織が、私を背負って校舎の中に入る。
2階に上り、廊下の真ん中辺りで香織は座り込んだ。
「はあっ、はあっ、詩織、大丈夫!?」
「あつつっ!……だ、大丈夫」
「ここなら左側にも右側にも階段がある。ヤツが来たら反対方向の階段に逃げれば良いわ」