二重世界
「ふっ、思うつぼだ。じっくりと始末させてもらおう」


私達が静かに耳を澄ましていると、下から何か大きな音がしている。
何かを組み立てているような?


「あいつ、何してるのかしら?ねえ詩織……?」


「わからない……」


しばらくすると、あの男が階段を上ってくる足音が聞こえた。


「むこうから来る!反対側から下に降りて、学校を出よう!街中に出れば、あいつを撒けるかも」


「でも詩織、走れるの!?」


「大丈夫!」


私達は急いで階段を下りようとした。
しかし階段を半分まで下りると、私達は罠にはまった事を認識した。


「これは!椅子と机のバリケード……!」


そこには、椅子や机が天井までぎっしりと積み上げられたバリケードが行く手を阻んでいたのだ。


「詩織、どかしてる暇ないよ!上に行くしか……」


香織の言うとおりに私達は3階に上った。
しかしこのままでは、私達はどんどん追い込まれてしまう……
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