二重世界
私達は3階に上がり、再び耳を澄ます。あの男が階段を上ってくる気配はない。

すると、下でさっきと同じような音がする。


「ま、また……!?このままじゃいずれ追い込まれるわ!」


私は何かこの悪循環を止める手立てはないかと考える。
そうしているうちに、あの男が階段を上ってくる足音が聞こえた。


「くっ!香織、教室で戦おう!」


「でも、あいつに私は歯が立たなかった……」


「私、あいつの心の声が聞こえるの!だから私が心を読みながらフォローする!それに障害物のある教室の方がいい!」


「心が?どうして?」


「説明は後よ!香織、左腕は!?」


「だいぶ前から動く!」


私達は急いで教室に入り息を潜めた。

これでいいのよね……。
でも何か見落としているような。

香織は左腕も動くようになったし、万全の状態で……。


動く?


ちゃんと動ける!?
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