二重世界
今は説明してる暇がない。私は繋ぎ合わせたカーテンを窓の外に放り投げた。


「香織、これを伝って下の教室に移動して!早く!」


「わ、わかったわ!」


香織がカーテンを伝い、2階の教室の窓を蹴り割る。
そのとき、私がいる教室のドアが開いた。


「私も……!」


私は急いでカーテンにしがみつき、下り始める。
そのとき、男がカーテンを掴んだ。

私は体を外に出して半分も下りていない。


「引き上げて殺してやる」


男がカーテンを引き上げ、私の顔に手を伸ばした。


「詩織、手を離して!」


私は香織の声と同時くらいに手を離した。
3階でも、ちゃんと足から着地すればケガで済む……


「え?」


しかし私は男の手から逃れるべく、上半身を後ろに反らしながら手を離したため、体が斜めになった状態で落下する。


「このままじゃ、頭の重みで、頭から……!」
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