二重世界
「今何時!?……6時だ。亮ちゃんが帰った時間」


私は机の引き出しを開けてみた。
さっき書いた手紙がない。


書いてなかった事になってる……?


この時間になっても香織は生きてここにいる。


「未来が……変わったの……?」


元の現実では、おそらく香織は私の顔を見て、暗示が作動した。
私は香織を起こしてみる事にした。


「香織、……香織?」


「んん……もう朝?」


香織は大きく背伸びをする。そして目を開けて私を見た。


「詩織…………」


次の瞬間、香織はガバッと私に飛びかかった。
香織が私を押し倒し、私は動きが取れず、足をバタつかせる。


「か、香織!やっぱりダメなの!?」


「詩織……」


「んむっ!」


(お、同じだ!香織にキスされて、それから……!)


「んはあっ!詩織、ありがとう!」


「……え?」


「詩織がね、夢に出てきてあたしを助けてくれたの!」
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