二重世界
サングラスはアオの事をよく理解しているようだ。


「だが、今我々のいるこの世界は、唯一アオが現れる事のないパラレルワールドだ」


「それなのに暗殺に失敗するとはな。‘夢未'は藤瀬ヒロミを殺す気があるのか?」


サングラスが、やや強めの口調になる。


「藤瀬ヒロミの能力はまだ解明出来ない部分が多い。何よりヤツは、17歳のどこにでもいる小娘のようで、かなり頭が切れる」


帽子が見てきたのは、前回と今回の2つの事例だけではない。
いくつかのパラレルワールドを見てきた結果、導き出された答えだ。


帽子はもうひとつ、CRISにとって衝撃的な事実を加える。


「藤瀬ヒロミには、おそらく協力者がいる」


「どういう事だ?」


「私が入れるうち約半分、6つのパラレルワールドへの侵入を何者かに妨害された」


「何!?」


そのとき、1人の男が会話に割って入った。


「面白い。その娘、私に一時観察させてもらおうかな?」


「ド、‘ドクター'!あなた自らが……!?」


サングラスがその申し出に驚愕の色を見せる。


「美しい‘物'をいくつ見る事ができるかな……」
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