二重世界
「正直どっちに転ぶかわかりません。彼女に‘生きたい'という強い意志があれば、戻ってくる事が出来るかもしれない」
「‘生きたい'という意志……ですか」
香織はその医師の返答を聞いて、少し自信がなくなった。
詩織は両親を事故で亡くして以来、明らかに生きるエネルギーが薄れていたように、香織には感じていたからだ。
だから最近の活力に満ちた詩織を見て、‘変わった?'と思ったのである。
「後は、お友達の君から声をかけ続ける事も大事ですよ。この世とあの世の境にいる人間は、声のする方に行くという。実際に、声をかけ続けた方が意識不明からの生還率が上がるのは立証済みです」
「わかりました。じゃあ、藤堂にも協力してもらおう。詩織、今、あんたの大好きな藤堂にも来てもらうからね!頑張るんだよ!!」
香織は病室を出て、亮二に電話をかけた。
その時、亮二はちょうど部活に出掛けるタイミングだったため、部活には行かず、病院に直行すると言って電話を切った。
「ヒロミ……!」
亮二はお守りを握りしめ、病院へと走った。
「‘生きたい'という意志……ですか」
香織はその医師の返答を聞いて、少し自信がなくなった。
詩織は両親を事故で亡くして以来、明らかに生きるエネルギーが薄れていたように、香織には感じていたからだ。
だから最近の活力に満ちた詩織を見て、‘変わった?'と思ったのである。
「後は、お友達の君から声をかけ続ける事も大事ですよ。この世とあの世の境にいる人間は、声のする方に行くという。実際に、声をかけ続けた方が意識不明からの生還率が上がるのは立証済みです」
「わかりました。じゃあ、藤堂にも協力してもらおう。詩織、今、あんたの大好きな藤堂にも来てもらうからね!頑張るんだよ!!」
香織は病室を出て、亮二に電話をかけた。
その時、亮二はちょうど部活に出掛けるタイミングだったため、部活には行かず、病院に直行すると言って電話を切った。
「ヒロミ……!」
亮二はお守りを握りしめ、病院へと走った。