二重世界
(お前が今、現世と冥界の境にいるからだ)


「またあなた?ねえ、あなたは誰なの?私はなんでこんなところに……」


そのとき、私の脳裏に香織を救った記憶が蘇ってきた。


「そうだ!私、過去に戻って、未来を変えて……罰を受けたのね。でも香織を救えたから、私はもう満足。あの世界は私には重過ぎるよ」


(お前にはまだやる事があるはずだ。なぜお前は生き返ったんだ?)


「私は……‘あの男'を裁くため……?」


(そうだ)


「あなた何か知ってるの!?ねえ、教えて!何を知ってるの!?‘あの男'は……私のお父さんなの!?」


(ヒロミ、目的を忘れるな……)


「行かないで!!」


(お前は詩織と一緒に、…を、止めてくれ………)


「詩織と!?どういう事!?ねえ……!」


声は聞こえなくなり、私の頭の中に、突然片瀬詩織の記憶が流れ始める。
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