二重世界
「三輪……。怒鳴って悪い。俺もよくわかんねえんだよ。なんか気になるっつうかさ。……まあ、お前1度帰れ。しおらしい三輪なんてガラじゃねえから。頭スッキリしてからまた来いよ」


「……そうだね、そうする。あたしがいないからって詩織に悪戯しちゃダメよ」


「しねえよ!」


「ふふ。……ありがとね、藤堂」


「ああ」


香織は1度帰宅し、夕方に再び病室を訪れ、時刻は21時を回っていた。


「なんか藤堂ってさ、意外に優しいんだね。詩織が惚れるのも納得」


「な、なんだよ急に」


「無愛想で言葉が悪い。だからわかんなかったわよ。……あんたいつまでいるの?」


「あ?ああ、適当に帰るぜ」


「明日学校来る?」


「わかんね」


「ふうん。じゃあ、詩織は任せた!明日ね」


「ああ」


香織は亮二の肩を叩き、元気よく帰っていった。
詩織は結局、朝以来、目を覚ましていない。
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