二重世界
「ヒロミ……」
亮二はお守りを握り締め、しばらく祈るように目を瞑る。
そしてお守りから、1枚の紙切れを出し、広げた。
ピコーン…ピコーンという心電図の音だけが鳴り響く。
突然亮二が立ち上がり、自分の背後に右手を伸ばした。
紙切れが、ファサッと詩織の寝ているベッドに舞い落ちる。
亮二の大きな右手は、何もないはずの空間で、何かを掴んだのだ。
「テメエか。朝からチョロチョロと除き見てた趣味の悪い野郎は……」
今もそこには誰もいない。しかし亮二の目には、帽子を深々と被った男の姿がはっきり見えていた。
(こいつ、私の事が見えている……!?)
「全部思い出したよ。3年前に俺が交通事故に遭って、目を覚ますまでの3日間に何があったのか……」
亮二が落とした紙切れには、文字が書いてある。
‘亮ちゃんへ
また、あなたの前から消えちゃったらごめん
あなたの事が大好きです
面と向かって言えなくてずるいよね
こんな臆病な告白でごめんね
by ……'
「俺はヒロミを守るため、冥界の道を通って戻って来たんだ!」
そこには、この世界に存在するはずのない、ヒロミの手紙があった。
亮二はお守りを握り締め、しばらく祈るように目を瞑る。
そしてお守りから、1枚の紙切れを出し、広げた。
ピコーン…ピコーンという心電図の音だけが鳴り響く。
突然亮二が立ち上がり、自分の背後に右手を伸ばした。
紙切れが、ファサッと詩織の寝ているベッドに舞い落ちる。
亮二の大きな右手は、何もないはずの空間で、何かを掴んだのだ。
「テメエか。朝からチョロチョロと除き見てた趣味の悪い野郎は……」
今もそこには誰もいない。しかし亮二の目には、帽子を深々と被った男の姿がはっきり見えていた。
(こいつ、私の事が見えている……!?)
「全部思い出したよ。3年前に俺が交通事故に遭って、目を覚ますまでの3日間に何があったのか……」
亮二が落とした紙切れには、文字が書いてある。
‘亮ちゃんへ
また、あなたの前から消えちゃったらごめん
あなたの事が大好きです
面と向かって言えなくてずるいよね
こんな臆病な告白でごめんね
by ……'
「俺はヒロミを守るため、冥界の道を通って戻って来たんだ!」
そこには、この世界に存在するはずのない、ヒロミの手紙があった。