二重世界
帽子は、真っ白い紙の上に乗り、バランスに苦しむ亮二を見下ろす。


「な、なんだあれ?ここは一体どうなってんだ!?」


真っ白な世界は広さが認識出来ない。
帽子が指で空中に何かを描くと、ペリペリと白い紙が剥がれ、亮二を覆う。


「うっ!まとわりついて……」


あっという間に、亮二の全身が白い紙に包まれた。それはピッタリと亮二にまとわりつき、いっぺんの隙間もない。


「ぐむっ!んん!」


(このまま呼吸が出来ずに死ぬがいい)


「んおおおっ!」


(なんだ!?)


亮二の雄叫びと共に、包み込んでいた白い紙から炎が吹き出た。
いや、炎は亮二の体から発せられたのだ。


(炎!?ヤツの赤い目は‘怒り'……?)


瞬く間に、空間が炎に包まれる。そして、帽子が乗っていた紙にも炎が燃えうつった。


(ふむ、ならばこれではどうだ?)
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