二重世界
帽子が目を見開くと、白い世界は消滅し、新しく水色の世界が現れた。


「今度は何だ!?」


すると、亮二の体から吹き出ていた炎がジュッと音を立て、消える。

まわりの水色が徐々に亮二に集まり、色の濃さが増していく。


「お、重い……それに、息が……」


(深海に包まれ、死ぬか)


そのとき、突然、バシャーンという音をたて、亮二の回りの水が破裂し、亮二はバタと膝をつく。


(何!?水をも……?)


水色の世界の色が抜け始め、再び白い世界が形成されてゆく。


「はあっ、はあっ、何なんだよ……」


(あいつ、何かしたのか?あの様子だと、何も出来なかったように……む!?あいつの背後の色が青いままだ!あれは……?)


帽子が注目したのは、形成されゆく白い世界において、亮二の背後の色が未だに青いままだという事。

よく見ると、その青は丸い形をしている。
大きさにして、直径2メートル程の円であった。
< 196 / 265 >

この作品をシェア

pagetop