二重世界
「香織……。そうだよね、きっと1番疲れたのは香織だよね。仕切って、私に気を遣って、南くんの相手して……。それも全部私のため。ありがとう香織」


時計を見ると、22時を回っていた。私は香織に布団をかけ、電気を消した。

そして香織の手を握って、私は隣で横になる。

少しだけ眠ったとは言え、やはり体の疲労感は激しい。


(すぐ眠れそうだ)


そう思い、目を瞑る。
しかし暗闇と静寂が、私に昼間の出来事を思い出させる。


ジェットコースター……、お化け屋敷……、2次世界……





‘がっ……貴……司'





「嫌っ!……出てこないで!」


私の頭の中には、男の最期の言葉と、男が頭の中に描いたイメージが何度も蘇ってくる。


私を冷酷に殺そうとした男が、幸せそうに男の子を抱いている、あの‘描'。


「仕方ないじゃない!ああしないと、私が殺されていたんだから……!」
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