二重世界

私は今の状況を整理しようと、頭をフル回転させる。


「ここが冥界だとしたら、他人になっている意味がわからない。だとしたら現世？私の体はトラック跳ねられて、もしかしたら戻れるような体じゃない程にぐちゃぐちゃに……いや、考えたくない！！」


私は頭を覆ってうずくまった。そうしていると、なぜかこの体の記憶が頭の中に流れてくる。


「私は…片瀬 詩織(かたせしおり)。両親は二年前に交通事故で亡くなり…」



(今は一軒家で一人で暮らしている。身寄りはなし。天涯孤独だ。藤瀬ヒロミの通っていた高校の隣、西城院高校に通う高校二年生。両親が貯めていた貯金が5000万ほどあるから、生活には困らないだろう)


私の頭の中に聞き覚えのある声が響く。


「あ……、メイフ！？」


(本当に生き返るとはな。別人として生き返ったのは、君の考えているとおりだ。この体は自殺をした直後だった。家の場所は体が覚えているだろう)