二重世界
「ヒロミ!?」


亮二にはヒロミの声が聞こえた気がして、ベッドに寝ている詩織を見た。


「寝てる。でも今のは確かに……」


‘亮ちゃん、ドリームランドで私を助けてくれたじゃない'


「やっぱり声がする。片瀬の声じゃねえ。ヒロミの声だ!」


亮二はキョロキョロと周りを見回した。しかし、誰もいない。亮二に聞こえたヒロミの声は、耳からというよりは、頭の中に響いてくるような感覚だった。


「ドリームランドか。でも、状況が全く別だ……」


‘同じだよ。あのとき私に絡んできた相手がプロレスラーだったとしても、亮ちゃんはきっと私を助けてくれた。それがあなたの心の強さ'


「心の強さ?」


「そうだよ亮ちゃん」


「ヒロミ!!」


私は亮ちゃんに会いたくて、私の事を‘私'として見てくれる亮ちゃんに早く会いたくて、気付いたら目を開けていた。
右手には亮ちゃんの温もり……。
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