二重世界
亮ちゃんがまさか、あの事故のときに冥界の道を通って戻って来ていたなんて。

メイフは言ってた。
自分が藤瀬ヒロミだという事を他人に気付かれてもいけない、って。
でも相手が‘蘇りの者'ならば気付かれても構わないんだよね。
ルールを口にしなければ。


「お前……ヒロミなんだよな……。見た目は片瀬だけど、心はヒロミなんだよな……」


「そ、それは……答えられないの。でも…」


ガバッ!


「亮……ちゃん」


私の言葉を遮って、亮ちゃんは私に抱きついた。
強く、そして優しく。


「会いたかった……ヒロミ」



聞きたかった言葉。



亮ちゃん私ね、ドリームランドで私の手を引っ張ってくれた時思ったんだよ。


藤瀬ヒロミとして、あなたの温もりを感じたい、って。

今、私は確かに、藤瀬ヒロミとしてあなたに抱きしめられてるんだね。
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