二重世界
私、生き返って良かった。
こっちに戻ってきてから辛い事しかなかったけど、今心から良かったって思う。


「亮ちゃん、思い出がないなんて嘘ついてごめんね……」


「……?ドリームランドのか?」


「うん。あのプレゼントより、もっともっと2人だけの思い出が出来ちゃったね。この世で私と亮ちゃんだけの秘密」


あとは、あの手紙が亮ちゃんの手に届いてたらいいな。
あるわけないんだけど。
私、亮ちゃんの事が……


「ヒ、ヒロミ……!」


「え?何?」


「俺さ、その……なんていうか、あのよ……、良かったなって……」


亮ちゃん、顔が真っ赤。
え?
もしかして、これって……。
亮ちゃんからの、私への告白……!?


「え!?ななな、何!?何が良かったの!?」


私は心臓が飛び出るかと思うくらい、バクバクしてきてしまった。
意識したら、すごいどもっちゃってる……。
恥ずかしい!


「その………、胸が大きくなって良かったな!」


「………え?亮ちゃん……、何ドキドキさせてくれてんのよ!!!」


そのときの亮ちゃんの右手には、お守りがしっかりと握りしめられていた。
もちろん私はその意味がわかっていない。


でも私、嬉しいよ。
また亮ちゃんと、本当の意味で一緒にいられる事が。



亮ちゃん、好きだよ。



今はまだ、心の中の告白で我慢しておくね。
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