二重世界
「でもそれは先輩にこそ適した能力ですよ。僕にその能力があっても、1つも事件解決出来てません」


「いや、ヒントを書き出した時のお前の意見も役に立ってる。最初から答えを教えてくれる能力なら楽なんだがな」


「案外、最初の扉を開けたらいきなり生還出来た人間がいたら、それが1番強力だったりして」


「ははは、生還確率2分の1か。そんなラッキーなヤツがいたらそうかもな」


牧野はいきなり真剣な顔になり、以前から思っていた疑問を、坪倉に投げ掛けた。


「CRISのヤツらはなぜ多くの‘住人'を手駒に出来ているんでしょう?」


この疑問に関しては、坪倉も自分なりの考えがあった。


「死して冥界の道を歩いている状態は、おそらく夢を見ている状態と似ていると思うんだよな」


この言葉に、牧野はハッとする。


「‘夢'のヤツの仕業だと……?しかし、傍に行けても、正確に生還への扉を開け続ける事なんて……」
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