二重世界

「ヤツは俺と同じ様な能力があるのかもな。それか……勘が鋭いとか」


「勘が鋭いだけで、何万通りもある道を正確に誘導出来ませんよ。しかも何人も」


「一概には否定出来んぞ。先祖が超能力者だったり、一流のスポーツ選手や格闘家かもしれん。勘は遺伝するらしいからな」


坪倉と牧野はいつもこういった話をしていた。
‘蘇り'の能力については未知の部分が多すぎる。
それを日常会話化する事により、常にあらゆる角度からその事象を考える事を頭に浸透させていた。


「CRISが執拗に片瀬詩織に関わるって事は、片瀬詩織はCSISにとって危険な存在という事だろう。つまり、我々にとって彼女は何としても守らねばならん存在。ヤツらの核を掴む切り札になり得るからな」


「しばらく張り付いてろ、て事ですね」


「頼んだぞ」