二重世界
「え!?私、これからどうすれば……」


(君の目的は例の男だろう?そのうち向こうから近付いてくる)


「そんな!……あ、生き返った私には特別な能力が備わってるのよね!?教えて!私の能力って何なの?」


(それは私にもわからない)


「わからないの?自分で見つけるしかないって事?」


(そうだ。あと、1つだけルールがある。君は、君が藤瀬ヒロミだったという事を他言してはならない。もしルールを破れば、即冥界に送られる)


「何なのそのルール!?まあ、問題ないと思うけど…」


(1つ聞きたい。君は最後の扉の選択をしたとき、両方の扉から感じる邪気はどの程度だった?)


「両方とも同じくらい嫌な感じがしたわ。はあ、でも別人として生き返るなんて……その意味がわかったわ」


(……そうか。すまんがもう会話できる時間がない。君は無理にあの男を追わなくても良いんだぞ。片瀬詩織として、普通の人生を歩むのも選択のうち…)


ブツッ。
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