二重世界
「元気そうで安心したよ詩織。いや、ヒロミ……だったかな」


「アオ!」


扉を開けると、立っていたのはアオだった。
枝分かれする以前の世界では、彼が私を助けてくれた時に会ったけど、こっちでは現実で会うのは初めて。


「どうして……?ていうか、普通に現れて大丈夫なの……ですか!?」


「ははは、敬語使わなくていいよ。大丈夫大丈夫。お邪魔しますよっと」


「あ、あの……」


アオは私が招き入れる前に家に上がった。
でも、もうすぐ亮ちゃんが……。


「ダメ?ちょっと話がしたいと思ってさ。ヤツらの事で」


「ヤツら……」


確かにアオには教えてもらいたい事が山程ある。
私はアオを居間に通して、椅子に腰掛けた。


「びっくりしたわ。普通にチャイム鳴らして来るんだもん」


「礼儀としてね。それに、能力を使おうとしたら邪魔されそうだったし……」


アオは意味深な言葉を口にして、ニコッと笑った。誰か別の人間の気配を感じていたようだ。
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