二重世界
アオは悲しそうな目をして、下を向いて出ていった。


「アオ……!ご、ごめ……」


私がそう言い終わる前に、下で亮ちゃんの声が聞こえた。


「なんでテメエがここにいるんだ!」


「亮ちゃん、知ってるの……?」


私は急いで部屋を出た。すると亮ちゃんがアオの胸ぐらを掴み、怒りの形相で睨み付けている。


「亮ちゃん、やめて!」


私が階段の上から必死に声を出すと、亮ちゃんはその姿勢のまま私を見上げた。


「ヒロミ!こいつの事がわかってんのか!?こいつがどんなヤツか……」


「ヒロミはもう僕のものだよ。僕らが何をしていたか知ってるかい?」


「んだと?」


「僕らは抱き合って、キスをして、舌を絡め合っ……」


「黙れ!!」


何か2人がボソボソと会話したかと思うと、亮ちゃんは突然アオを殴りつけ、アオは玄関先まで吹っ飛んだ。
私は階段をかけ降り、アオを抱き上げる。


「アオ!!……亮ちゃんどうして殴ったの!?アオは、亮ちゃんが思ってるような人じゃないよ!」
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