二重世界
「ヒロミ……、お前、あいつと何してたんだよ!」


亮ちゃんは突然怒鳴り声をあげた。


「な、何も……してない」


私はなんて嘘が下手なんだろう。亮ちゃんの目を見て、凛とした態度で言わないと。

これじゃあ、何かやましいことをしてました、て言ってるようなものだ。


「あいつに……抱かれたのか?」


「ち、違う……!私はただ……」


「じゃあその首筋についたキスマークは何だよ!」


キスマーク……?
私はその言葉を聞いて、さっきの出来事が頭に流れる。
アオが私の首筋に強く吸い付いてきた、あの事を。

そして私は、ついその場所を手で隠してしまった。


「こ、これは……」


言い訳の出来ない証拠を突き付けられ、私は言葉を失ってしまう。


「俺がどんなにヒロミの死を悲しんだか……、どんなにお前に会いたかったか……。そう思ってる間に、お前には好きなヤツが出来てよろしくやってたわけだな」
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