二重世界
パシィ!


私はそんな事を言う亮ちゃんを見ていたくなくて、私が感じた孤独感をわかってほしくて、悔しくて……。亮ちゃんの顔を平手で叩いた。


「私だって……、私だってずっと亮ちゃんに気付いて欲しかった!私が‘私'って事に……。でも無理して否定してたんだよ!亮ちゃんが‘蘇り'って知らなかったから!お母さんとも娘じゃなくなって……。ずっと孤独だったんだよ!」


「ヒロミ……。でもだからって、あいつと一線を越えた事に変わりはない。お前はあいつを選んだんだろ……?」


私の心が再びズキンと痛む。そうだ。私は1度はアオの全てを受け入れようとしたんだ。

亮ちゃんが来なければ、多分私……。
アオに私の体を捧げてた。


「一線なんて越えてない」


「証拠があるじゃねえか」


「こんなの……!第一なんで亮ちゃんがうるさく言うの!?」


つい、私は思ってもいない事を口走ってしまった。言ってからすぐに後悔した。
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