二重世界
その私の言葉を受けて、亮ちゃんは首からかけていたお守りを外し、外に投げ捨てた。

私が病院にいた頃から、亮ちゃんがいつも大事そうに首にかけてたお守りを。


「そうだな。俺、お前の彼氏でもねえもんな。じゃあ明日、また学校でな……‘片瀬'」



‘片瀬'……?



なんでその名前で呼ぶの?私達だけの時はいつも‘ヒロミ'って呼んでたじゃない。


亮ちゃんは冷めた目で、私の家を去った。私は追う事が出来なかった。
今の気持ちじゃあ、亮ちゃんをただ傷付けるだけ。


いっその事、正直に話してしまおうか。


正直に……?


私がアオの傍にいたいと思った事を……!?


ダメだ。ますます話せないよ。でも、私が好きなのは亮ちゃんなの。


アオは、女性として彼を好きなんじゃなくて、なんていうか……放っておけない人っていうか……。
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