二重世界
放っておけない、ていうのはどういう感情?

多分、香織みたいなタイプは、何でも自分でやっちゃう亮ちゃんみたいな男性ではなく、少し頼りなさげで世話を焼きたくなるアオみたいな男性が好きなのではないだろうか。

世話を焼きたくなる……、放っておけない、て事?


ますます自分の、アオに対する感情がわからなくなる。


「でも、やっぱり私が好きなのは……亮ちゃん。今度アオが来たら、ちゃんと言わない……と…」


しかし私は、さっきのアオの心の声が頭から離れない。私が彼を拒んだら、彼は1人になってしまうんだ。

亮ちゃんには家族がいる。学校の友達もいる。小さい頃から積み上げてきた人間関係がある。
でもアオには、この世で私しかいないんだ。


「亮ちゃん、ごめんね……」


だから亮ちゃんには、私がいなくても……、きっと大丈夫だろう。
< 223 / 265 >

この作品をシェア

pagetop