二重世界
私は自分の決断を、理屈で納得させようとして、何度も心に念を押した。

亮ちゃんなら大丈夫、私がいなくても大丈夫、と。

この世に私しか頼れる人間がいないアオと、沢山の人間が回りにいる亮ちゃん。私が傍にいてあげなきゃいけないのは、アオなんだ。


「それでいいの。……でも、なんで、こんなに………涙が止まらないの?」


他人の気持ちや状況ばかり考えてた私には、気付く事が出来なかった。
自分の本当の気持ちに。自分に必要なのは、誰なのかという事に。
この涙の理由に。


「あ、亮ちゃん、お守りを……」


私は外へ投げ捨てられたお守りを探し出し、とりあえず引き出しにしまい込んだ。


もしもこの時中身を開けていれば、私の決断は違ったものになっていたんだろうか。
< 224 / 265 >

この作品をシェア

pagetop