二重世界
いつも傍にいる人
「ハーフっぽいイケメンが出ていったすぐ後に、藤堂亮二が出ていった。これは……、三角関係だな!?先輩に報告を!て、急いで報告するまでもないか」


牧野は変わらず詩織の様子を見ていた。もしCRISの人間が現れたとき、自分の‘無効化'の能力で詩織を守るために。




「はあ、明日学校休んじゃおっかな。明日が終われば土日だし。亮ちゃんに顔を合わせずらいし、それにこのキスマーク……」


私は椅子に腰掛け、手鏡で自分の首筋を見ていた。そこにはくっきりと、アオの痕跡が自己主張している。


「もう、アオったら……。わざとやったんじゃない?」


孤独なアオは、もしかしたら私を独占したいがために、自分の証を残したのかもしれない。

でも今の私には、そんなアオの稚拙な行為すら、可愛らしく、いとおしいと思う心が生まれていた。


アオの傍にいようと決めたから。
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