二重世界
「怖がってても仕方ないわ。一度、片瀬 詩織の家に行こう」


私はそう思い、動き出した。自然と家までの道のりが頭に描かれる。


「あれ、この道?」


見覚えのある道。その先を曲がると、コンビニがあって、そのまま真っ直ぐ歩くと……


「あ……」


ドクン、と私の心臓の鼓動が早まる。私の視線の先には、二人の女性が会話をしている。


「元気出してね。私に出来る事があれば、何でも言ってちょうだい」


「ありがとうね。心配かけてごめんなさい」


仁科のおばさん。
そして、会話の相手は…


「お母さん……!」


二人の目の前で、私は無意識に立ち止まってしまった。


「……?」


お母さんが不思議そうに私を見ている。


お母さん、私だよ…。ヒロミだよ!
気付いて!?
私は、あなたの娘なの……!!



「あ、あの……。もしかして……!」


立ち止まった私にお母さんが話しかけてきた。


気付いてくれた…!?


姿形が変わっても、やっぱりわかるの?
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