二重世界
沢崎と呼ばれた先生が教室に入る。


ゾク……と、とても嫌な感じがした。
言い様のない寒気、恐怖感。
私の中の警報器が鳴り響く。
まさか、ヤツら?
でもこんな公の場に来るはずは……。


「沢崎 重昭(さわざき しげあき)と言います。担任は初めてですが……」


沢崎先生が挨拶を始めた途端、女子の目がキラキラと輝き、少しざわついた。

沢崎先生は20代半ばくらいで、髪の毛は耳に少しかかるくらいのサラサラヘア。
中性的な顔立ちは誰が見ても、格好良いと太鼓判を押すだろう。


しかし、私にはそんな事はどうでもいい。
この先生は何者なのか。敵か味方か、そんな事がひたすら気になった。


そんな事を考えていると、沢崎先生と私の目が合う。

その瞬間、何か巨大な猛獣か化物に、全身を鷲掴みにされたような錯覚に、私は陥った。


「よろしくお願いします」


間違いない。
こいつは………



私を殺しに来たんだ。
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