二重世界
亮ちゃんはベッドの外で、多分机の傍の椅子に座ってる。


(私の様子を見に来てくれないの?……まあ、当然か)


「起きてんのか?」


ベッドの外から、亮ちゃんは椅子に座りながら私に話しかけた。


「……う、うん」


「なんで倒れたんだよ?」


「なんか、沢崎先生の目を見てたら突然……」


「ふうん」


その後、私も亮ちゃんも無言になった。亮ちゃんに昨日の事を話そうと思ってたのに。
言葉が出てこない。
何か会話しないと、ますます気まずくなっちゃうよ……。
そうだ、沢崎の事を亮ちゃんにも教えてあげないと。


「あ、あのさ……」


ガラガラッ


「あれ、藤堂くん、どうしたの?」


私が喋りかけようとしたとき、葵先生が戻ってきた。
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