二重世界
覚醒の赤
今日は土曜日。 あれから1週間。
沢崎はあれ以来、私に何もしてこない。
あいつの能力があれば、私の事なんてどうに でも出来そうなのに。 あいつは、私は他と違うって言ってた。
何が 違うんだろう?
私の能力は、心の声が聞こえる事と、過去に 行ける事。
はっきり言って、それ以外は普通の女の子だ 。
ヤツらと戦えるような能力ではない。


「だから私に出来る事は、ヤツらの秘密を暴 く事だ……」


私は退院してから、片瀬詩織の出生の秘密が 何かないかと、家中を探していた。
しかし、秘密らしきものは皆無だったのだ。


「写真すら1枚もない……。片瀬詩織の記憶 になくても、何か書類とか、そんなものもな いなんて」


私と片瀬詩織はきっと姉妹なんだ。
双子? お父さんだけが一緒?


「お父さんて、隠し子を作るような人だった のかしら……」


もう1つわからないのは、私が入院していた ときに響いてきたあの声だ。
冥界の道でも、数回聞こえたあの声。

あれは誰?
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