二重世界
しばらく泣き続けていた私は、ようやく落ち着いた。

でも、お母さんの顔を思い浮かべると、また涙が溢れてくる。


「私……泥だらけ」


フラフラとお風呂へ歩き出し、服を脱ぐ。シャワーを浴びながら、片瀬詩織になって初めて、鏡を見た。


「可愛い顔。それに、スタイル良い。これなら男の子にもモテるだろうな。ねえ、なんであなたは自殺なんかしたの?」


両親がいなくなって天涯孤独。寂しかっただろう。もしかしたら両親が亡くなって、精神的に弱っていたのかもしれない。


私はお風呂から上がり、テレビをつけた。


‘20時になりました。ゴールデンウィークも今日で終わり…'


という事は、今日は5月5日?私が死んでからまだ2日後だ。

なんだか懐かしい。私はだいぶ長い事、冥界への道にいたからなあ。それがまだ2日しか経ってないなんて。


「今日は色んな事が有りすぎて疲れたわ。明日は学校に行かなきゃいけないし。早いけどもう寝よう」


私はドッとベッドに身を投げると、あっという間に眠りについた。
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