二重世界
「部長、離れてろ!今来ちゃダメだ!」


いつもより広く感じるグラウンド。自分に向けられた殺意。
亮二は確信していた。


「ここは、ヤツらの領域だ……」


そこに迷い込んでしまった、部長の須原を巻き込むわけにはいかない。


「どうしたんだ亮二……?」


「ここは危険なんだ!今はともかくグラウンドから……いや、学校から出てくれ!」


須原はこの亮二の言葉を冗談としかとらず、笑いながら亮二の傍に来た。


「お前、おかしいぞ?大丈夫か?」


「ち、違うんだ!ここはいつもの空間じゃねえんだよ!」


心配そうに亮二の肩に手を置く須原を守るため、亮二は警戒心を更に強めた。


「ここは現実と切り離された空間。何が起きても不思議じゃねえ」
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