二重世界
突然空や地面から敵が出てきたり、何もない空間から姿を現したりと、そんな可能性も十分考えられるのだ。


「お、おい亮二、マジで大丈夫か?」


「部長、異変に気付かねえのか?この時間になっても部員は来ねえし、何より他の部活のヤツらもいねえ。人っ子1人いねえんだ!」


亮二の言うとおり、目に見える空間には誰の姿も見えていない。


「ここにいるのは、この空間の主と、狙われた俺………と、部長?」


亮二が須原の存在に疑問を抱いたときだった。



ズブッ……



「ぐっ……」


須原の右手が亮二の腹部を貫いたのだ。


「だから言っただろ?敵が目の前にいるのに‘大丈夫か?'てさ」


「部長……、なん…で……?」


亮二は腹部を押さえながら前のめりに崩れ落ちた。


「ふっ、ちょろい仕事だ……」
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