二重世界
亮ちゃんのそんな事態を露知らず、私は警察署へ到着した。
そして坪倉さんがいる部屋に入る。


「片瀬さん、よく来たね。何かわかったんだって?」


そう言って自分の机から移動してくる坪倉さんは、左足を少し引きずっていた。


「坪倉さん、足が……?」


「ああ。昔のケガの影響でな。……それで、わかった事を教えてくれるかい?」


「はい。1つは、私が狙われたあの組織には、夢の中で人を殺せる能力者がいます」


「ああ、それは我々もほぼ確信していた。‘夢のヤツ'って呼んでる」


「あいつは……、私のお父さんです」


私の発言に、坪倉さんと牧野さんは驚きのあまり声を失い、お互い顔を見合わせた。


「で、でも、君の両親は2年前に事故で……」


「はい、亡くなりました。でも、その時に死んだお父さんは、血のつながってない人です。私から見れば、他人同然……」
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