二重世界
それから私は、自分の能力の事や、今までに起きた事をほぼ全て話した。

自分が片瀬詩織とは別人格という事と、アオの存在を除いて。


「つまり、今我々が生きている世界は、君が生み出した世界と言っても過言ではないという事か」


「はい。広い視点で見れば変わりはないけど、私の回りにとっては別世界です。香織がいるのといないのでは」


坪倉さんは、いきなり多くの話を聞き、しばらく頭を整理しているようだった。


「ちなみに、君は冥界の道で、いくつの扉を開けた?」


唐突な質問だったが、私はそれを覚えていたため、すぐに答えた。


「行って戻ってを繰り返してましたから、開けた扉は数えきれませんが。ストレートに生還への道のりを進んだ場合の扉の数は、最後の生還の扉も含めて35個だったと思います」


2人はこの私の回答に目を見開いていた。


「35個……?まず最初に2つの扉があるだろ?ひとつ扉を開けると、道は4つになり、2つ扉を開けると道が8つ……。牧野、電卓貸せ」
< 257 / 265 >

この作品をシェア

pagetop