二重世界
坪倉さんは数字に2をかけるたびに「~個目の扉を開けた数字がこれ」と確認しながらその数を出した。

「34個扉を開けたら、約342億……!そして35個目の扉を開けて生還したわけか。342億分の1だって!?そんな試練を越えてきたのか!?」


「あ、でも、最初の2択のうちひとつは多分冥界だったから、その半分だと思いますけど」


私は驚きの意味がわからなかった。皆同じだと思ってたから。


「ちなみに俺は256分の1。牧野は65000分の1ってところだ。だから俺には2次世界を作る力もないし、普通の人間に毛が生えた程度の能力しかない」


驚いた。
皆、道の数が違うんだ。
でもこの2人に比べて、私の道ちょっと多すぎない?


「そのわりに、私の能力も大したことないと思います。偶発的に夢の中で過去に戻るとか、意識的に戻ったら、体が衰弱して死にそうになるし……」


「君は、夢のヤツの2次世界に行って、友達を救ったと言ってたな。他人の2次世界に自分から行く事は無理だと思ってたが……何か方法を知ってたのかい?」
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