二重世界
「あの時は、出来るとか出来ないとかじゃなく、‘向こうに行こう'てふと思ったんです」


この答えを聞いた坪倉さんは再び考え込み、それらを繋ぎ合わせる。


「君の能力は……‘オールマイティー'なのかもしれないな」


「オールマイティー?」


私と牧野さんの声がハモる。


「正確には‘過去'+‘コピー'かな。自分で味わったり見たりして、理解した能力を使えるんじゃないか?」


私はまだよくわからずに、キョトンとしてしまう。


「君に本来備わった能力は‘過去'だと思う。しかし夢の中で自分の世界を展開するというのは、後天的に身に付けた能力なんだよ。おそらくね」


「なるほど、そういう考えがあったんだ。
でも、だとしたら沢崎の光の力も使えるのかしら」


「そいつの能力を思い出してごらん。で、俺にやってみて」


私はあの時の沢崎の目を思い出し、イメージした。確か目が光って、それから光に包まれたように……
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