二重世界
翌日、私は片瀬詩織として学校に向かう電車に乗っている。
「次は武蔵~、武蔵~」
武蔵の次が西城院高校前駅。以前の私もこの駅で降りてたから、よく見知った通学路だ。
武蔵駅でいつも人が沢山乗ってくる。私は大概逆側のドアにギュウギュウに押し込まれる。
「きっつ……、え!?」
瞬間、私の背中に悪寒が走った。敵意、殺意、圧倒的な負の空気を放っている人間がいる。
そしてそれは、間違いなく私に向けられているのだ。
私の危険察知の警報器が唸りを上げる。
「やば…!でも動けない!こんな所でどうやって逃げれば……!?」
私は焦ってキョロキョロと周りを見回した。それらしき人物はいない。
「こんなに人の多い所だもんね。さすがに……!?」
私は目の前の男性の顔を見て驚愕し、言葉を失った。
他の人達と違って、この男性の顔は、ぼんやりとぼやけている。目も鼻も口も、輪郭すらはっきりわからない。
「次は武蔵~、武蔵~」
武蔵の次が西城院高校前駅。以前の私もこの駅で降りてたから、よく見知った通学路だ。
武蔵駅でいつも人が沢山乗ってくる。私は大概逆側のドアにギュウギュウに押し込まれる。
「きっつ……、え!?」
瞬間、私の背中に悪寒が走った。敵意、殺意、圧倒的な負の空気を放っている人間がいる。
そしてそれは、間違いなく私に向けられているのだ。
私の危険察知の警報器が唸りを上げる。
「やば…!でも動けない!こんな所でどうやって逃げれば……!?」
私は焦ってキョロキョロと周りを見回した。それらしき人物はいない。
「こんなに人の多い所だもんね。さすがに……!?」
私は目の前の男性の顔を見て驚愕し、言葉を失った。
他の人達と違って、この男性の顔は、ぼんやりとぼやけている。目も鼻も口も、輪郭すらはっきりわからない。