二重世界
そのおかげで私はアオや香織を救う事が出来て、片瀬詩織の過去を詳細に見る事が出来た。


全部、お父さんのおかげだったんだ。
お父さんは全部わかってたんだ。


その結論に至った私は、自然に涙がポロポロと流れ出していた。


「片瀬さん……?先輩、泣かせましたね」


「バ、バカ言うな!片瀬さん、出来なくていいんだよ?」


お父さん……
私、お父さんに会いたい。

もうお父さんの事、知らないなんて言わないよ。

だってお父さんは、世界1優しくて、世界1娘想いの温かい人だってわかったから……


「お父…さん……」


全部終わらせなきゃ。
お父さんは自分を犠牲にして、私に全てを注いでくれた。
片瀬詩織は、能力を受け渡し、私に賭けてくれた。

今はまだひ弱な私だけど、誰よりも強くなって、お父さんの願いを、詩織の願いを私が叶えてあげるから。
< 261 / 265 >

この作品をシェア

pagetop