二重世界
「俺にヒロミを殺させるだと……!?テメエ、一番言っちゃならねえ事を言いやがったな!!」


この時、亮二の目は真紅に染まっていた。


「き、貴様!立ち上がれるのか……!だ、だが、何も出来まい」


「出ろ!」


亮二が須原の顔を掴んだまま、勢いよく後ろに引っ張る。

そして、ベリィ!という、皮膚ごと破けたような音が辺りに響き渡った。


「貴様!自分の仲間を傷付けているのがわからんのか!?」


「仲間……て、あの人の事だろ?」


亮二が男の顔を掴んだまま、クルッと振り向かせる。
そこには、気絶して横たわっている須原がいた。


「引き剥がされた!?なぜ!?こいつの能力は火遊び程度のもののはず……」


「ひっぺがしてえと思えば出来るもんだな」


「まさかこいつは‘思念具現化能力'を!?火はその1部に過ぎなかったのか!?……藤堂亮二!貴様、冥界の道で一体いくつの扉を開けた!?」




「あ?……ひとつに決まってんだろうが!」




「何!?最初から生還の扉を……?2分の1の冥界の道などあるのか!?」
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