二重世界
そして男はナイフを振りかぶり、私の胸目掛けて振り下ろした。


「嫌ぁ!!」


(やはり、藤瀬ヒロミ。厄介な女が……)









「はっ!?」


私は周りを見回した。カーテンからうっすら漏れる日の光。フローリングの床に、ベッド。


「私の……部屋?」


私は汗だくになって、ベッドから飛び起きた状態だ。時計を見ると、朝の5時半。


「夢だったの!?」


そう、どうやら夢だったらしい。早速‘あの男'が接近してきたのだ。


「あの様子だと、全て気付かれたみたい。こっちはまだ何も準備出来てないのに。私の能力だってわからないのに……」


恐怖と焦りで部屋をウロウロする私。まずは……シャワーを浴びよう。

シャワーを浴びながら、先程の夢を整理する。


「1つだけ今までと違ったのは、あいつの声が聞けた事。でもあれはしゃべってたんじゃないわ。多分、心の声。私の新しい能力かも」
< 28 / 265 >

この作品をシェア

pagetop